木製品に触れると何だか心が安らぐ、という事はありませんか?
現代では様々な加工技術のおかげで、身近にある多くの家具で木の温もりを感じる事ができるようになりました。
今回はその加工技術の一つである成型合板(プライウッド)についてご紹介します。
成形合板とは
成型合板とは、1mm程に薄くスライスした木材(単板)を一枚ずつ重ねて接着し、熱を加えながら型にはめて
曲面状に形作った木工技術のことを言います。主に椅子に用いられる技術で、ゆがみや反りが出にくい製造方法です。
積層合板や曲木との違い
積層合板とは、上記の成型合板を曲げる前の、単板を重ね合わせた状態を指すものです。
しばしば積層合板と成形合板が混同されていますが、曲げ加工前の状態を、「積層合板」、曲げ加工後の状態を「成型合板」と呼ぶのが正しいです。
また曲木とは無垢材に水分と熱を加え、圧縮し曲げる技術です。成型合板との大きな違いは、主に無垢材を曲げるための加工を指します。
成形合板
曲げ木
(提供:株式会社イバタインテリア)積層合板 | 成型合板 | 曲木 |
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単板を重ねたもの | 積層合板を曲げたもの | 無垢材を曲げたもの |
成型合板の歴史
成型合板を使った家具の歴史は古く、1920-40年代に多くの建築家・デザイナーによって使用されました。
ヘーリット・トーマス・リートフェルトやアルヴァ・アールトがいち早く手がけ始めた技術をベースとして、
イームズ夫妻が熱と圧力をかけて木材を3次元曲面で成型する新たな技法を発見。
それに注目したアメリカ海軍は夫妻に軍需製品の開発を委託し、成型合板の添え木(レッグスプリント)や担架などが開発されました。
1945年に大戦が終了すると、軍需産業が生み出した新しい技術は世に出始め、イームズ夫妻、エーロサーリネン、ジョージネルソンを始めとする
デザイナー達によって一般家庭向けの家具に応用され、アメリカ国内へ広がっていきます。
日本国内では1947年に天童木工が初めてこの技術を家具に取り入れました。
例)レッグスプリント、EAMES Plywood Chair、セブンチェア、バタフライスツール
バタフライスツール
アントチェア
製造方法
工程は大まかに下記の手順で製作されます。
1.
しっかりと乾燥させた木材を薄さ1~1.5mmにスライスする。
2.
製造する家具に合わせてカット
3.
薄い板に接着剤を塗り重ね合わせる
4.
型にはめてプレスし、成型する
5.
それぞれのパーツを切り出す
最後に完成したパーツを組み合わせます。
特徴
成型合板 |
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曲木 |
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成型合板を使用したソファ LINTO
成型合板を肘部分に使用したソファLINTOは、無垢板では表現できない、肘のしなやかな形状と、高い耐久性を実現しています。
どこから見ても美しいフォルム、鳥の翼の様な優雅な肘掛けのデザインを持ちながら、
カバーリング仕様のメンテナンス性の高さや、しっかりとした掛け心地が特徴のソファです。